恋愛境界線
「判ります。だから、もう一度蓮井さんと……」
「製造ラインはもう確保してある。その予定は延ばせない。そんな中で一から考え直させる時間的余裕はない」
「でも……っ」
「第一、蓮井さんはうちの他にも仕事を抱えている身だ」
その彼に、当方のミスでこのデザインは使えなくなったから、急いで数日中に新しいデザインを考えてくれと?
課長は私に口を挟む隙を与えることなく、畳み掛ける様に、そう問い掛けてきた。
疑問形ではあるものの、その口調は反論を許さないもので。
今は、それでも何とかします、頑張ります、と我を押すところじゃないと理解出来るだけに、何か言い返したいのに、悔しいけど何一つ返す言葉が浮かばない。
例え、何か反論できたとしても、きっと的外れな、この件とは関係のない感情的な言葉ばかりになってしまいそうで。
それを抑え込む様に、奥歯に力を入れて、拳をきつく握りしめた。