恋愛境界線

課長の発言に呆気に取られている私の前を、当の本人が何事もなかったかの様にスタスタと通り過ぎて行く。


「そうそう。また下着が見えそうになってるから、君は早く着替えを済ませてしまいなさい」


私に背を向けたままそう告げるのと同時に課長は部屋から出て行き、ドアの閉まる音だけが響いた。


つい布団を掴む手も緩んでしまうほどに、さっきの若宮課長のセリフは衝撃的で。


最早、下着が見えそうになっていることさえ、些末なことの様に感じてしまう。


いや、どうでもよくはないんだけど。でも、あの人、今、サラッとすごいこと言ったし。


『君がどうこうという問題ではなくて、女性に興味はないんだ』


それって、どういう意味ですか、課長!!!?


今すぐにでもドアを開けて、激しく課長に問い質したいところだけれど、それはパンドラの箱と同じで、下手に開けてはいけないものなのかもしれない。


もし想像通りの答えが返ってきたとして、どう反応すれば良いのかも判らないし。


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