恋愛境界線

ちょっとだけ。


ほんのちょっとだけだけど、良い雰囲気だと思ったのに……。


もし、今こうしているのが私じゃなくて支倉さんだったのなら、課長はキス……とか、してたのかな?


私と課長では、どんな雰囲気だろうと、そんな流れにはなりそうもないけれど。


「芹沢君がそんなにゴキブリを嫌いなら尚更、君が見たやつをきちんと捕まえておかないと。このままでは落ち着かないだろう?」


「捕まえる!?」


ハムを!?と、頭の中ではゴキブリの様にぞんざいに始末されるハムの図が浮かんだ。


「い、いいです!もう二度と目にしたくないので、あえて見つけないで下さい」


放置して繁殖したり、再び現れたらどうするんだ、と言う課長の背中を押して、無理矢理に部屋へと向かわせる。


「とにかく、そんな恐ろしい考えは捨てて、課長は着替えでも済ませちゃって下さい!」


その言葉と共にドアを閉め、急いでハムを探して、ケージを自分の部屋へと移動させた。


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