恋愛境界線
ハムがキッチンの片隅にいるのをすぐに発見出来たお蔭で、課長にバレることもなくケージの中に納まった。
チップを沢山敷き詰めてあげたので、今は楽しそうにその中に潜ったりしている。
そんなハムの様子を見ていると、いつもは自然と和むのに、今日は全然和まない。
ハムを見ていると嫌でも若宮課長に抱きついたことを思い出して、ソファベッドの上で足をバタバタさせたくなる。
女顔の見た目に反して、私が思っていたよりもちゃんと、しっかりと男の人の身体をしていた。
それに、ほんのり爽やかなフレグランスに混じった若宮課長の匂い。
聞こえた心音と温もり。触れられた手の感触。
どれ一つとっても、思い出そうとすると瞬時に生々しく蘇ってきて、途端に顔が火照り、心臓が煩いくらいにドキドキと逸り出す。
「ハム、こんなんじゃ私、隠し通せる自信なんてないよ……」
望みなんて欠片もないのに、例えあったとしても好きだなんて言えないのに、それを隠し通す自信もない――。