恋愛境界線
「そうだ、せっかくお知り合いになれたんだし、今度一緒にご飯でもどうかな?」
「はい……?」
「二人きりが気まずいなら、誰か友達を連れてきてもいーし。こっちもメンツ揃えるしさ」
ねっ?と、半ば強引に約束を取り付けようとしてくる奥田さんに、苦笑混じりに話を変える。
「ところで、支倉さんはいつ頃戻られますか?」
「さあ?今日の午後一で出版社とアポ取ってたみたいだから、その前に一度戻ってくると思うけど」
どうしよう。今すぐ届ける様に言われたから、急ぎで必要なのかと思ったのに。
「何か伝言があるなら伝えとくけど?それとも、それを渡せば良いのかな?」
奥田さんは、私が手に持っていたクリアファイルを指すと、「伝言でも受け渡しでも、何でもしてあげるからさ、さっきの食事の件、考えといてよ。ねっ?」と、私に一歩詰め寄った。
そして、驚くより先に、私の手からヒョイっとクリアファイルを抜き取った。