恋愛境界線

「えっ?それって、どういう……」


戸惑いを見せた私に、「ごめんなさい。別に深い意味はないの!」と、支倉さんは慌てて謝った。


「ただ、若宮くんが、芹沢さんは私と若宮くんの昔の関係を知ってるって言ってたから、ちょっと気になって」


二人が付き合ってた頃から社にいる人の殆どが、その事実を知っている。


その人たちの内の誰かが私に教えてくれた、と考えるのが普通で、支倉さんが何を気にしているのか、それが若宮課長と私の関係にどう繋がるのかが判らない。


何をどう答えればいいのやら考えあぐねる私に、支倉さんも困った様に苦笑した。


「芹沢さんが私たちの関係を知っていたことに関しては、特に驚きはしなかったの。けれど、芹沢さんが知っているってことを、若宮くんが知っていたっていうことには、ちょっとびっくりしちゃって」


「どうしてですか?」


「だって、若宮くんは自分からそういう話をする人じゃないし、芹沢さんも興味本位でそういうことを訊ねる人じゃないって知ってるから」


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