恋愛境界線


次の日、目が覚めると若宮課長の姿は既になく、テーブルの上にはメモが置かれていた。


そこには、出張で福岡に行ってくる事と、帰って来るのは二日後だという事が書かれていた。


「今月は出張があるって聞いた様な気がするけど、今日だったんだ……」


流れる様な文体で書かれた綺麗な文字を見ながら独り言を洩らした後、室内をぐるりと見渡した。


気付けば、自分の家の様に慣れ親しんだこの部屋。


今では若宮課長が居ないだけで、寂しく感じてしまう。


だけど、若宮課長がいたらいたで、ここを出て行く決心が鈍ってしまう気がする。


だから、若宮課長が出張から帰って来る前に、私はここを出て行こう。


次に住む場所なんてまだ見つけていなかったけれど、私は仕事から帰って来るなり、早速荷物を纏めた。


若宮課長が帰ってくるのは二日後だけど、出て行くと決めた以上、一刻も早くここを出たい。


最後に、若宮課長の部屋に近付き、そっとドアを開けた。


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