恋愛境界線
「それに、女性社員の誰が飲み会に誘っても全然乗ってこないのに、深山さんとはよく二人で飲みに行ってるらしいよ」
「そういえば、深山さんも女性の噂って聞かないよね。うちで一番人気あるのに」
「でしょ?これって、決定的だよね。絶対そうだって!」
各々勝手なことを言ってるだけなんだけど、聞けば聞くほど、それが真実であるかの様に思えてくるから不思議だ。
営業の深山さんも独身で、だけど課長と違って優しいし、背も高くて、男性的でシャープな顔立ちをしている。
他の女子社員同様、私も密かに良いなって思っていただけに、これは結構ショックかも……。
しかも、その相手が課長とか、笑えない。
呆然としていると、他の子が「支倉さんは今までに、若宮さんの噂とか聞いたことないですか?」と訊ねた。
「えっ、私?」
静かに箸を置いた支倉さんを見れば、いつの間にか、あれだけあったランチは綺麗に完食していた。
「特に聞いたことはないけど……?私は、今の噂も初めて聞いたしね」