恋愛境界線
私と課長に挟まれて、深山さんが戸惑った様に苦笑する。
「それにしても、持ち合わせがないと不便でしょう?少しですけど、よければお貸ししますよ?」
そう申し出てくれた深山さんに、私が「とんでもないです」と断るより早く若宮課長が、私に注意する時とは違って、やんわりと角の立たない口調で深山さんを押し留めた。
「いや、いいよ。芹沢君は私の部下だし、金銭の貸し借りは良くないからね」
最初から断るつもりだったけれど、課長の口から先に言われてしまうと、何だか若干カチンとくるから不思議だ。
「芹沢君には、代わりに私が貸そう」
「は!?」
さっきの若宮課長じゃないけれど、余りに信じられないことを言うから、思わず自分の耳を疑ってしまった。
だって、金銭の貸し借りとか、絶対しないタイプに見えるのに。
若宮課長に「ほら」と差し出された物を見た瞬間、今度は目を疑ってしまった。
「クオカード……?」