恋愛境界線
「それにしても、よくここに居るって判ったね」
「そっちの部署に顔を出したら、遥は社食に行ってるって教えてもらった。さすがにそのまま財布を他人に預けてくるのも……と思って」
「そっか。忙しいのにごめんね」
渚は、「本当に感謝しろよ」と言うと、若宮課長と深山さんに軽く頭を下げ、すぐに食堂から去って行った。
その慌ただしい様子から、予定と予定の合間を縫って来てくれたことが判って、申し訳ない気持ちになった。
「すみません。食事中にお騒がせしました」
二人に謝って、再び自分の席に就く。
「芹沢さんって、あの緒方さんと知り合いだったんですね」
そう話す深山さんの視線は、渚が去って行った入口の方へと注がれている。ついでに、周囲も視線までも。
「えぇ、まぁ……。実は、幼い頃からの知り合いなんです」
「へぇ、道理で……」