恋愛境界線

若宮課長の『具体的にどこを指しているのか教えてくれないか』のセリフは、淡々としているのだけれど、私の耳には子供が挑発してくる際に発する、あのセリフを思い起こさせた。


『何月何日何曜日?何時何分何秒?地球が何回回った日?』のセリフを。


上手く言い返せず、ただじっと睨む私の前では、若宮課長が涼しげな顔をして豚肉を口に運んでいる。


「……じゃあ、私がこれを定価の500円で買い取ります」


「馬鹿か君は。それじゃあ、まるで私がクオカードを売りつけたみたいじゃないか」


そう言って、若宮課長は豚肉を一切れ齧った。


「売りつけてはいないですけど、押し付けはしたじゃないですか!だから、買い取るって言ってるんです」


「金銭のやり取りは良くないし、好まないから、買い取りは不要だ」


そう言って、またしても豚肉とご飯を一口。


「もう!!さっきから、どんだけ豚肉ばっか食べる気ですか!喋ってても、気になって気になって仕方ないんですけど」


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