恋愛境界線
「別に、食べながら喋っているわけじゃなく、きちんと口の中の物を飲み込んでから喋っているじゃないか」
私が気になってるのは課長の口の中じゃなく、口に運ぶ順番だ。
「そうじゃなくて、どうして肉、キャベツ、肉、キャベツの順で食べないんですか!」
若宮課長は、「どの順で食べようが私の勝手だろう」と箸を置いた。
「そういう君だって、おかずばかり先に食べて、最後にはご飯だけを食べることになっているじゃないか」
「私が、いつそうだったって言うんです?」
いまこそ、『何月何日何曜日?何時何分何秒?地球が何回回った日?』を使う時だ。
「いつって、いつも夕飯を食べ――食べに、皆で行った時は、そうじゃないか」
『いつも夕飯を食べ』まで言ったところで、一瞬課長が口を噤んだ。
企画部のメンバーでご飯を食べに行くことなんて、打ち上げの時か歓送迎会の時くらいだ。
しかも、そういう時にはつまむ程度で、ご飯を食べた記憶はない。