恋愛境界線

私と同様に、支倉さんも手にお店のかごをぶら下げている。


そして、その中に入っている食材は、とても一人分の量には見えない。


支倉さんは、「こんな所で会うなんて奇遇ね」と言って私の後ろに並んだ。


「ですね。支倉さんのお住まいは、この辺りなんですか?」


「ううん。逆方向なんだけど、今日はこっちの方にちょっと用事があるから、そのついでに」


「そうなんですか……」


こっちの方といえば、真っ先に思い浮かぶのは若宮課長のマンションだ。


昼間、深山さんが二人はよりを戻したと言っていたし、だとすれば、かごの中の食材の量にも納得がいく。


支倉さんが、これから若宮課長のマンションにご飯を作りに行くことを思えば。


仕事帰りに、自宅からは逆方向のこのお店に買い物に来ていることにも――。


喋っている内に会計の順番が回ってきて、支倉さんは買い忘れた物があったと列を離れ、そこで別れることとなった。



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