恋愛境界線
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渚のマンションに着いて、合鍵でエントランスを通り抜け、ドアの前でインターホンを押す。


まだ帰ってきてないだろうと思いながら来たけれど、さっき外から見えた窓の灯りで、渚が帰ってきているのを知った。


まるで嫌がらせの様にインターホンを連打する。


チャイムの音が隣の人の迷惑になるなんて心配は、このマンションの場合する必要がない。


壁が厚いせいなのか、防音になっているせいなのかは判らないけれど、このマンションでは室内の生活音は勿論、チャイムの音だって隣に響くことはない。


ガチャリ、とドアが開くと同時に、渚からは「煩い」の一言を投げつけられた。


「わざわざチャイムを押さなくても、鍵持ってるだろ」


「そうなんだけど、まぁ、何て言うか嫌がらせ?」


えへへ、と笑いながら、ドアを抑えてくれている渚の横をすり抜けて玄関に足を踏み入れた。


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