恋愛境界線
「知りたいのなら教えるが?」の言葉に、ぶんぶんと首を横に振る。
きっと、良いイメージなんて皆無で、聞くだけ落ち込むのがオチだ。
「そうか、それなら次は私から君に訊きたいことが二つある」
「はぁ、二つも……。どういったことですか?」
「一つ目は――訊きたいことというよりも、言いたいことなのだけれど」
スプーンを皿の上に置き、改まった態度の若宮課長に、思わず私も居住まいを正す。
「会社の話が出た流れで思い出したのだが、君は我が社に勤めながら、なぜ他社製品を使っているんだ?」
「……んん?」
思わぬ方向の話に、本気で何のことを言われているのか判らず首を傾げる。
「惚けても無駄だ。君はここを出て行く時に、化粧品と乳液、保湿クリームなど、スキンケア用品一式を忘れて行っただろう?」
「あぁ、やっぱりここに置き忘れてたんですね!道理で見つからないと思ったんです」