恋愛境界線
「幼なじみとしてでもいいから、遥とは繋がってたい。それくらいなら許されるだろ?」
許すも許さないも、そんな権利は私にはない。許しなら、私の方こそが渚に乞うべきもので。
「だけど、一応けじめとして、こっちは返してもらう」
渚が指先で鍵をつまみ、顔の横でひらひらと揺らしてみせる。
「そっちに関しては、友情の証として持っとけ。つーか、そんなのを返されても困るし」
シリアスな雰囲気には似つかわしくない、ふざけたデザインの不細工なマスコットストラップ。
その見た目と、渚の冗談交じりの口調に、ほんのりと笑いを誘われる。
渚もそれを狙っての発言なのかもしれないと、私もいつもと変わらない声色で不満を洩らす。
「これが友情の証だなんて、嫌すぎるよ」
「人の土産を嫌すぎるとか言うな。今まで散々フツーに付けてたくせに」
まだ少しぎこちないけれど、私のいつもと同じ態度に渚がホッとしたのが伝わってきたから、私もたまらずホッとした。