恋愛境界線
「……そう。大丈夫だった?断ることで、何か言われたりしなかった?」
「俺が一人で決めたことで、遥には関係のないことだし」
突き放す様な言い方だけど、これは『気に病むな』と言いたい、渚なりの気遣いだと判るから、それはそれでやっぱり胸が苦しくなった。
「仕事、やりににくなったりしない?」
「全然。すみませんって謝ったら、その分仕事に励んでくれれば良いって言われた」
笑いながら、良い人だよなとか、社長の下で働けて幸せだとか言う。
お世辞なんかじゃないって判るから、私はそれは渚の方こそ、と思った。
渚の方こそ良い人で、渚を部下に持てる社長こそ、幸せ者なんじゃないかな、なんて密かに思った。
「つーワケだからさ、遥も俺に遠慮なんてする必要ないからな」
渚が、やっと空から私の方へと視線を移した。
青空みたいに澄んだ眼差しを、真っ直ぐと私へ向けてくる。