恋愛境界線
「遠慮って……?」
「若宮さんのことだよ。昨日まで、若宮さんの所に居たんだろ?」
「……う、ん」と、歯切れ悪く答えながら、どうしてそのことを知っているんだろう?と、疑問に思う。
それを察したのか、「昨日、様子を見にそっちの部署行った時に、若宮さんから直接聞いた」と補足してくれた。
だから、私が風邪をひいたことも知ってたのか、と遅まきながらそのことに納得がいった。
「でもそれは本当に偶然で。私が熱で倒れる間際に、たまたま側に居たのが若宮課長だったっていう話で……」
訊かれてもいないのに弁明するのも不自然な気がしたけれど、何も言わないのも不自然な気がして。
だけど、渚は「遥がこんな風に、俺に言い訳すること自体、既に遠慮してるってことだよな」と言った。
「正直、遥が若宮さんの所に居る間に、二人の仲は上手くまとまったんだと思ってた」
「まさか!そんなの絶対ないから!」
「遥の性格上そうかなとも思ったけど、でもそうとも言いきれないだろ?だから、さっき言うべきことはないかって訊いたんだ。それならそれで、隠されるより教えてもらった方が良いし」