恋愛境界線
「誰と誰って、今は君と緒方君の話をしているのだから、当然君たちのことに決まっているだろう。この流れで全然関係のない人間の話題が出てくる方が、よっぽど驚くじゃないか」
「はぁ、左様でございますね……」
私としては、こんな弱ってる状態でも、課長がいちいち会話のアクセントに嫌味加えてくることに驚くんですけど。
てか、課長の中では何がどうなって、私と渚が同棲しているという設定になっちゃってるわけ!?
「私は渚と一緒に暮らしたことなんてないのに、どうして同棲なんてワードが出てきたのか教えて頂けますか?」
課長の眉間にシワが寄る。
私のセリフが若干嫌味くさかったからかもしれない。けれど、それは嫌味くさい課長に対抗したわけじゃなくて、あくまで丁重に申し上げた結果だ。
「以前、君がここを出て行った後、どこに住んでいるのか訊ねたら答えなかったじゃないか。それに、腕時計やら財布やら、君が忘れた物は必ず緒方君が届けに来ていたから、そういうことだろうという解釈をした」
だから、私が渚のマンションに引っ越して同棲している、という突拍子もない考えに行き着いたわけですか……。