恋愛境界線
だけど、これだけは判る。
自分のしたことを、どれだけのことをしたのかということを、全然判ってない。
それこそ、自分が悪いだなんて微塵も思ってないんだ。
「……冗談ですか」と呟いた声が震える。
声が震えるのは、目の前の奥田さんが怖いからじゃなくて、抑えきれない怒りのせいだ。
「それじゃあ、他社へ情報を流したのも、ちょっとふざけただけで、冗談のつもりだったんですか?」
多くの人が多くの時間を費やして、必死で創り上げたものを。
それにかけた想いも、何もかもを無視して、踏みにじったことを。
罪悪感なんて露ほども感じず、こんな風に笑って外から眺めていたのかと思うと、足元から怒りが込み上げる。
「私は絶対に許しませんから。こんな時間に私のPCを勝手に使用しただけでも、奥田さんは十分に疑わしい立場に置かれたわけですし」