恋愛境界線
そもそも証拠なんてあったところで、揉み消されればそれまでだ。
だから――。
「私がこうして実際に目にしたことで、効力を持つようにします」
「……どういう意味かな?」
今回の件は、私のデザイン案を直接この人に見られてしまったことが要因だけれど、三年前の時は違う。
支倉さんの話では、三年前の時は明らかに持ち出し禁止のPDFファイル等を、USBにコピーした形跡があったと言っていた。
それならば、三年前の件は管理システムを調べれば、ある程度までは犯人を絞り込めたはず。
そこまで判っていながら犯人が特定されなかったのは、犯人が判らなかったからじゃなくて、判ったからこそ、誰かの手によって意図的に不明のままにされた――としか考えようがない。
だって、
「奥田さんは、専務の甥にあたるそうですね」
「……よく判ったね。社内で知ってる人間は殆どいないのに。って言っても、遥ちゃんなら当然知ってるか」