恋愛境界線
ただ、私の部屋に運び込まれたソファベッドの色は、当初気に入っていた赤ではなく、ブラウンだけれども。
それは配送ミスではなく、だったらせめて色はあの部屋に似合いそうで、かつ課長も使いやすい色を、と思って変えてもらったからで。
実際、こうして見てみると、この部屋にブラウンのソファは、違和感なく馴染んでいる。
「課長、夕飯にはまだ早いですけど、さっきお惣菜と一緒にビールも買ってきたので、一緒にどうですか?」
お礼と言うには取るに足らない程度の、ほんのささやかなお返しだけど、美味しいと評判のデリカで買ってきた、ちょっと高めのお惣菜をリビングのテーブルの上に並べる。
「気が利くね……と言いたいところだけど、ビールじゃなくて発泡酒だよ、これは」
「そうですね、気が利かなくてすみませんー」
普段、自分が飲むのは圧倒的に発泡酒の方が多いから、つい今日も発泡酒を買ってしまったのが失敗だった。
言われてみれば、この人、いかにもビールしか飲まなさそうだし……と、ちょっとだけ肩を落とす。
若宮課長は何が可笑しいのか、笑いながら「これ、頂くよ」と、冷えたアルミ缶を一つ手に取った。