恋愛境界線

  * * *


「……で、そのデザイン画を返すだけのつもりが、デザインのリテイクを手伝うことになったんだ?」


「うん、そうなの……」


どうしよう、とテーブルに張り付いた状態で、学生時代からの友人である純ちゃんを見上げる。


本当はデザイン画を郵送で済ませるつもりだったのだけれど、返却したい旨を連絡したところ、もう一度顔を合わせてお話したいため、わざわざうちの会社まで取りに行きたいと言われ、直接顔を合わせることは避けられない状態に。


それならばと、今夜は純ちゃん家でご飯をご馳走になる予定だった私は、会社から純ちゃん家に向かう途中にあるlotusデザイン事務所に足を運んだところまでは、まだ良かった。


問題はそこからで。


蓮井さんにこの案は採用出来ないことを伝えたところから、徐々に雲行きがあやしくなった。


海外のデザインアワードをいくつか受賞したことのある蓮井さんが、最近は国内のコンペでも結果が振るわず、スランプに拍車が掛かり、自分の作品に行き詰まりを感じているとか――そんな身の上話を聞かされてしまったのだ。


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