恋愛境界線

自分よりも年上の男性にそんな話を聞かされ、肩を落としている姿まで見せられた挙句、「……もう一度だけ、チャンスを頂けないでしょうか?」と言われたら放っておくことも出来なくて。


気づいた時には、「課長に掛け合ってみます」と答えてしまっていた。


幸い、課長に電話してみたところ、まだこれといったデザイン案がなく、決まるまではもう少し時間を要するということで、そのことはすんなり話が通ったのだけれど。


それを伝えた瞬間、蓮井さんに感謝されると同時に、更に頼まれたのだ。


「今回のターゲット層は芹沢さんと同年代の方々ですよね?もし良かったら、作品の参考に芹沢さんの意見を取り入れたいんですが、お力添え……頂けませんか?」と。


私には、参考になる様な意見なんて持ち合わせていないし、そんな大層な立場にもないのに。


こんなことは前代未聞で。だけど、懇願に近い眼差しを向けられたら、無下に断ることも出来なくて。


「私なんかで良ければ。というか、こうなったら採用をもぎ取ってやりましょう!!」


――なんて口走ってしまった自分が、心底ニクイ。


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