姉のカレシの、闇に溺れて



 俺が機嫌を悪くしたことを気にしてか、『ごめんなさい』と、何度も謝ってくる沙羅が鬱陶しくてたまらない。


「私、紗和にやっぱりムリって言うね??」


「いや、イイよ。大丈夫」


 ―――――紗和から会いたいって言ってくれたんだ。カレシが一緒だろうが、もう一度会いたかった。



 ✥✥✥



 待ち時刻の6時30分までまだ時間はある。
 カフェの中に入って待つことにした。


 ――――――そして、6時30分キッチリ、私服の紗和が店内へと入ってきた。



「紗和」


 俺の呼びかけに気づき近寄ってきた。そして、正面へと座る。



 …………………一人か?


 カレシも連れてくるんだとばかり思っていた。だけど、紗和は今俺と向かいあわせでイスに座っている。


 ……………紗和は一人だ。



 メニュー表を見せ、『何頼む?』問いかけるが、メニュー表を一切見ることなく下を向いてしまっている。


「……………別に、いらない」



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