姉のカレシの、闇に溺れて
5.
◆紗和side◆
あの日、悠一さんに抱かれてしまった日。悠一さんに貰ったお金でタクシーに乗り、家に帰宅した。
家に帰るなり、お姉ちゃんは私の顔色を酷く心配してくれた。
悠一さんがお姉ちゃんと私を間違えて抱きそうになった夜のことを知ってしまっているんじゃないかと不安に思っていたけど、どうやら知っては無さそうだった。
「紗和、大丈夫? 何かあった??」
私は悠一さんと、お姉ちゃんには言ってはイケナイコトをしてしまったんだ。
「ユウくんからお弁当貰った??」
お姉ちゃんの口から出る"ユウくん"に一瞬、ドキッとする。
「う、うん」
「こんな顔色悪いなんて……持ってったお弁当に何か悪いものが入ってたのかな??」
「うん、そうかも……」
―――声が震える。