姉のカレシの、闇に溺れて
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一度家に帰り私服に着替え、姉の大学近くのカフェに6時30分、時間ちょうどに着いた私は、ゆっくりと中へと入った。
「紗和」
悠一さんが私の名前を呼ぶ。
あんなことをされてムカついてるはずなのに、悠一さんの顔を見て何故かホッとしてしまった。
『お久しぶりです』と挨拶するワケでもなく、向かい合うように正面のイスに腰掛ける。
『何頼む?』と、何処となく嬉しそうな声に何とも言えない気持ちになり、ただただ下を向いた。
「…………別に、いらない」
「じゃあ、適当に頼むから。シェアしよ」
明らかに不貞腐れてる私を咎めることなく、店員さんを呼び料理を次々と注文している。
「……で、あとコレと、このデザートも。あと、分け合って食べたいんで取り皿二つで」
悠一さんの爽やかな笑顔に店員さんは顔を赤くし、『かしこまりました』と急いで去って行った。
愛想を振りまくのもいい加減にしてほしい。
それに、のんきに食事なんてしている場合じゃない。