姉のカレシの、闇に溺れて



 ✥✥✥


 一度家に帰り私服に着替え、姉の大学近くのカフェに6時30分、時間ちょうどに着いた私は、ゆっくりと中へと入った。


「紗和」


 悠一さんが私の名前を呼ぶ。
 あんなことをされてムカついてるはずなのに、悠一さんの顔を見て何故かホッとしてしまった。



 『お久しぶりです』と挨拶するワケでもなく、向かい合うように正面のイスに腰掛ける。



 『何頼む?』と、何処となく嬉しそうな声に何とも言えない気持ちになり、ただただ下を向いた。


「…………別に、いらない」


「じゃあ、適当に頼むから。シェアしよ」



 明らかに不貞腐れてる私を咎めることなく、店員さんを呼び料理を次々と注文している。


「……で、あとコレと、このデザートも。あと、分け合って食べたいんで取り皿二つで」


 悠一さんの爽やかな笑顔に店員さんは顔を赤くし、『かしこまりました』と急いで去って行った。


 愛想を振りまくのもいい加減にしてほしい。
 それに、のんきに食事なんてしている場合じゃない。


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