廓の華


 柄をにぎり、抜刀した。

 すんでのところで受け止めた彼はそこそこ腕がたつ。

 数回刃を交え、間合いを取った。目の前で荒い呼吸をする蘇芳が、苦悩に顔を歪めている。


「蘇芳。手加減はしない。次で殺す」

「……久遠さん……」

「あの子が来ても、迷わず殺すよ」


 カッと彼の瞳に怒りが宿った。

 気持ちのこもった一歩が強く踏み出される。

 やっと殺気が見えた。それでいい。


 刺される間際に刀を手離すと、蘇芳は目を見開いた。しかし、今さら勢いは止められず、ずぶりと深く胸に刃が刺さる。

 鈍い痛みが走った。熱い血が傷口に集まっていくのがわかる。着物に広がる染みと刀をつたって足元に落ちる赤い雫が、命の終わりを告げていた。

 力が抜けて前に倒れると、俺を刺したはずの男が身体を支える。

 どうして、という顔をしていた。あえて刺されたのだと察したのだ。


「……燃やしてくれ……この屋敷も、俺の遺体も」


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