廓の華
繊細で派手な帯や簪を見つめる黒い瞳は、好奇心にあふれていた。
「いえ、私は借金を抱える身ですので」
「へぇ。つまり、客からの貢ぎ物ってわけか。ずいぶんと高そうだ」
久遠さまは、口元に手を当ててまつ毛を伏せた。にこやかな表情がふっと消えた真剣な眼差しに胸が鳴る。
他の男に飾りつけられた遊女は気に入らないのか?
一瞬、そんな考えが頭をよぎったが、彼から聞こえたのは予想外の台詞だった。
「じゃあ、もし俺が牡丹に何かを贈れば、それを身につけてくれるのか?」
表情ひとつ変えずに尋ねられる。
「はい、もちろんです」
「そうか。じゃあ、次は手土産を用意しよう。なにが欲しい?」
「私は、外の世界に出た経験がありませんから、流行りのものも知りません。これが欲しい、あれが欲しいとねだるような真似はいたしませんよ」
「遠慮しなくていいのに。俺は客なんだから、好きなだけ甘えていいんだ」