廓の華
久遠さまが袂から出したのは、小さな麻の袋だ。中から手のひらに転がってきたのは、サイコロである。
「丁半のやり方は知っているか?」
その問いかけに頷く。
賭場でよく行われる丁半は、サイコロ二つをツボの中で振って、目の合計が偶数であれば丁、奇数であれば半と読み、金をかけるものだ。
「牡丹が俺に勝てれば、さっき言った通りなんでも教えてやる。でも、俺が勝てば、君の質問には一切答えない」
緊張感が張り詰めた。
これは、試されている? もしも負ければ、これ以上、久遠さまには近づけなくなってしまう。
「どうだ?やるか?」
挑戦的な笑みで覗き込まれた。
勝てる自信はないが、断る選択肢もない。
こちらの意思を汲み取ったのか、久遠さまはツボの代わりに取り寄せたお椀に入れ、風呂敷の上にとんと被せた。お椀を開けたときのマスの合計を必死で考える。
「さぁ、牡丹。丁か、半か?」