廓の華
心臓が鈍く音を立てた。
サイコロの目の確率なんて計算できない。目の前でお椀に入れて被せるところを見ていたが、不正をしている素振りはなかった。
これは、運に賭けるしかない。
「半」
力強く答えると、久遠さまは冷静に続ける。
「じゃあ、俺は丁にしよう」
一回で勝負を決めるつもりのようだ。奇数であれば私の勝ち。お椀に骨張った長い指がかかり、緊張が高まる。
沈黙の後、ぱっと開かれた。身を乗り出して覗き込んだとき、視界に赤い目が映る。
ふふっと柔らかい笑い声が耳をくすぐった。
「ピンゾロの丁。俺の勝ちだ」
思わず顔に出てしまうほど落胆する。まさか、両方とも一の目なんて。これで、私は彼に一切の質問を聞けなくなってしまった。
眉を下げていると、手の甲で優しく頬を撫でられる。
「俺は賭け事には強い方なんだ。相手が悪かったな。そんな顔をするな。これはただの遊びなんだから」
ぐずる子どもをあやすような口調だ。彼の手がかりを全て無くした気になって落ち込む私をよそに、向こうは楽しそうにしている。