吐息
「い、いえ、大丈夫です。アパートまで、近いですし」
「……この時間、歩いて帰るの? 危ないと思うけど」
「人はいないし、き、気分転換にもなるので、そっちのほうがいいです」
「本当にいいの?」
やや不満げな声色にドキドキしながらも、私はうなずく。
「はい」
「じゃあ、送っていくよ」
彼の気遣いが申し訳なくて、私は無理やり言い訳した。
「へ、平気です。ひとりで歩くのが好きなので」
「……。……そ、じゃ……気をつけて帰ってね」
背を向けて、ひらひらを手を振る彼。
私は、深くお辞儀をすると、彼とは反対方向に歩き出した。