Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜

──……そうだった。
赤星って、見かけによらずこういう面倒見の良い奴だった。
ペコリと小さくお辞儀をして赤星の隣を通り過ぎようとすると、彼は私に一瞬何か言いかけたけれど、何故か黙って私の頭をポンポンと軽く撫でた。

赤星なりに、私の様子のおかしさを気にしてくれているのかもしれない。

……本当、良い男だなぁと思う。どこかの誰かとは全然違う。

自分の席に向かいながら、さっきの智政の姿がチラリと脳裏を過った。
高校の時の彼をアルバムで見たことはあるけれど、実物は眼中になかったせいで記憶にないので、あんなに爽やかな雰囲気の人だったなんて思いもしなかった。

私が彼と知り合った時は、智政の髪はもう既に長めでワックスで後ろに流してしまっていたし、大人な雰囲気が凄くて本当に野球青年だったのかな、なんて思う程だったけれど。

今日見た彼は短い髪が好青年っぽくて、隣にいた野球部のマネージャーである西野さんとお似合いに見えた。

……と、こんな事、今となってはもうどうでもいい事だけれど。


取り敢えず懐かしい教室を見回していると、緊張も少し解れてなんだかワクワクして来た。

それになんだか、一人だけ中身が大人になってしまっているせいか、教室にいるみんなが妙に子供っぽく見えてしまう。
それさえもなんだか面白くて、つい笑ってしまった。
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