Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜
「浅倉? うん、2組だよ。何? アイツに用事? 浅倉だったら多分屋上だと思うけど」
私の心情なんて微塵も知らない加藤は、教室を見回してから明るく答えてくれる。
「え、屋上?」
「うん。アイツ早弁すっから昼は大体屋上で寝てる」
……早弁? 早弁……あっ! 昼食時間より前にお弁当食べちゃってる事か!
一瞬早弁の意味が分からなくてポカンとしてしまったけれど、意味が分かると思わず小さく吹き出してしまった。
加藤にお礼を言って、その足で屋上へと向かう。
智政らしいな、と思った。
のらりくらりと掴みどころのない彼は、付き合っている時も、結婚してからも自由な人だった。
勿論、協調性が無いわけじゃなくて、いい意味で自由なのだ。
束縛や強制なんてなくても、自然と彼の隣に寄り添っていたいと思える、そんな人だった。
屋上へと向かう道すがら、廊下の窓からふわりと金木犀の香りが風で運ばれてきた。
途端に“記憶”が蘇ってきて、今は何も嵌っていない左手を見つめ、ぎゅっと握りしめて視線を逸らす。
もうすぐ屋上だ。
私は未来を変える。
そう決めたのだと自分に強く言い聞かせて、香りで蘇った記憶をシャットダウンした──。