Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜
***

取り敢えず、屋上に智政一人じゃなかった時が困ると思い、そっと覗くように扉を開ける。

うん。誰もいない。

っていうか、誰もいないし……!

めちゃくちゃ緊張していたせいか、一気に拍子抜けしてしまい大きな溜息が溢れた。


「はぁーー、緊張して損した」


智政に居て欲しかったと思う反面、正直まだ面と向かって話しをする勇気は足りなくて。
これで良かった様な、少し残念な様な。そんな複雑な気分だ。

だけど扉の向こうに青空が広がっているのが見えて、誘われる様にそっと屋上へと足を踏み入れた。

ポカポカとした陽気に、これは眠れそうだな、なんて背伸びをしていると、






「あれ、先客?」





と、後ろから声を掛けられて思わずビクッと全身が揺れてしまった。

──振り返らなくても分かる……から困る。

拍子抜けして、気が緩んだところにこれはキツイ。
口から心臓が飛び出るんじゃないかってくらいドキドキしているけれど、悟られたくなくて平静を装って振り返った。


「あ……、えーと……、よく会いますね」


振り返った先にはやっぱり智政が居て。
彼は紙パックの豆乳のストローを口に咥えたまま、私の言葉に少し驚いたような表情で小首を傾げた。


「アンタ、誰?」

「……」




……あ。


顔が一気にぶわりと熱を帯びる。

『よく会いますね』って何!?
何言ってんの、私!? そりゃ、私は智政の事知ってるからこそ、今日はよく会うなって思って言った言葉だったけれども……!

智政からしたら、眼中にないほぼ初対面の私なんて本当に誰お前って感じじゃんっ!!!

忙しなく一人百面相の様に青くなったり赤くなったりを繰り返していると、フハッとストローから口を離した智政がお腹を抱える様にして笑い出した。
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