マネキン少女
寂しそうな表情に気が付いたという事は、ヒロは私がユリカと疎遠になった事を気付いていたのかも知れない。


しかし、今まで触れないでいてくれた。


私も、ヒロの闇には触れない方が良いのだろうか。自分も触れられたくない事が有るからこそ悩んでしまう。


本当は土足でヒロのテリトリーに踏み込みたい気持ちをグッと抑え込む。


いつか、言ってくれるよね__


でも、がまんできなくて。


「ヒロっ……」
「んっ?」
「最近どう?」
「んー!るるちゃんとこうしている時間が有るから、幸せかな!!」


私もこの時間が有るから生きていけるよ。


「私も同じ……」


付き合っている訳じゃないけど、近くに居るようで安心出来る。


「るるちゃん……」


そう声がしたと思ったら、ヒロが私を抱き締めた。漂う石鹸のいい匂い。


でも、私なんかに触れたらヒロが汚れる気がして__。離れようと試みる。


「ちょっと……」
「へっ?」
「ちょっとだけでいいから、こうさせて……」


そう言ったヒロの声は震えていて、逃げる事は出来ずに身体の力を抜いた。


ヒロの温もりが私の身体に伝わって、心地よく、安心出来る。




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