マネキン少女
なんだか、私の汚れが浄化していく感じで不思議な感覚。


「るるちゃんは大人になったら何をする?」


大人__


それは、私にとっての憧れ。
あの家から出たい。


「まずは、一人暮らしかな!」
「俺も同じ!妹が居るから妹も連れて行きたい!!」


妹は虐待は受けて居なかったはず。


「なんで、妹さんも?」
「俺が殴られたら心配してくれるんだよ。ただ、それだけ__」


そう言ったヒロがヤバイと言う表情を浮かべ、「変な話してごめん……」と呟いた。


「大丈夫!あのね……」
「うん?」
「その……。手以外も殴られたりしているの……?」


さっき土足では踏み入らないと決めたはずなのに、こんなんだからしょうも無い。


「見る?」


踏み入ったらいけない__。それくらい理解しているはずなのにコクリと頷いている自分が存在した。


微かな温もりを与えてくれていた、ヒロの身体が私から離れて、白いワイシャツのボタンに手を伸ばす。


ドクリ、ドクリ。


なんだか、見たらいけない物を見る感覚に溺れてしまう。


しかし、数秒後に私は酷く後悔をしていた。


「俺、汚いでしよ?」


そう聞いたヒロの横顔はとても綺麗で、涙が溢れる。
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