【コミカライズ】皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―
「ふふっ、アイリスさま。自信持ってください。世界一お綺麗ですよ。それに、仕方ありませんわ。再開した公務がやっと落ち着いて、一刻も早く婚儀を挙げたいと願う陛下のお気持ちですから」
周囲から改めて言われると、ちょっぴり恥ずかしくなる。ルイナードはこれまで口癖のように『早く式典を』とクロードさんを困らせていた。
昨夜は「あと一日待っててくれ」と必死にお腹に願っていたっけ。
そんなルイナードを思い返すと、笑ってしまいそうになる。
「ほんと、いつ生まれるかわからないのに⋯⋯」
「さぁ、そろそろご誘導役が、いらっしゃいますから、笑顔、笑顔。ティアラは入口でもらってくださいね」
「はいはい」
「それに、産気づいても、ハリス先生もいらっしゃいますから、大丈夫です!」
「もう! そういう問題なの?」
サリーに手を引かれて、扉の方へと移動していると、タイミング良く――コン、コン。
本日の、誘導役が来たようだ。
「皇妃さま、お支度は整いましたでしょうか?」
侍女が開いた扉から、恭しく胸に手を当てて頭を下げる、体躯のいい長身。
短く切りそろえられた、赤毛。線のような切れ長の目。口元はほんのり弧を描いている。
私の心は一気にむず痒くなった。
「カルム団長。準備は出来てるけれど⋯⋯なんだか、まだ慣れないわ」
「ゴホン⋯⋯早く陛下のもとへ参りましょう」