皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
しかし、そんな祝福ムード一色のときだった。
キスを終えると同時に、じわじわと腰回りに重い痛みが走り、ドレスの上からお腹を押さえる。
何やら、ただならぬ予感がする⋯⋯。
「アイリス⋯⋯どうした?」
すかさずルイナードが、強張る体を両手で支えてくれた。無意識に、それに甘えるような形で身を寄せる。
「なんだか⋯⋯お腹が痛い⋯⋯」
まだ立っていられるくらいだけど。まるで腰が砕けてしまいそうだ。ずんずんお腹の痛みが増していくのがわかる。
途端に、動かなくなった私たちへ「おや?」「どうした?」とざわつきを見せる大勢の参列席。
そんななか、湧き上がる可能性はひとつだけ。
――お腹の赤ちゃんはもう“いつ産まれてもおかしくない”――のだ。
同様の考えを持ったであろう私たちは、自然と見つめ合っていた。
「おい⋯⋯アイリス、まさか⋯⋯」
「その⋯⋯まさかしかないわよね」