秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 ハイツの件も落ち着いたのだから、いつまでも彼に甘えていないでそろそろ恵麻とふたりで暮らす物件も決めないといけない。

 仕事の休憩時間や家に帰ってから、インターネットなどで調べてはいた。前のところと近い条件のものもあったし、自分で引っ越しを行えば金銭的にもなんとかなりそうだった。

 しかし、私はそこから先に進められないでいた。

 相良さんに再会して、こうやって一緒に暮らすようになって、もう少しそばにいたいと思うようになってしまった。この普通の家族のような時間を……。

 思案に暮れるほど心が切なく苦しくなる。

 今だけは、相良さんにほかに大切な人がいるのを忘れてもいいかな。

 私はそんな思いを抱きながら、このささやかな幸せが少しでも長く続けばいいと、私に触れる彼の手に身を任せていた。
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