秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 
「キリンさんだー!」

 念願のキリンを前にした恵麻は、「みてみて!」と指をさして私たちに訴える。相良さんが地面に下ろすと、恵麻は先ほど私が言ったことを肝に銘じているのか、息を弾ませながらもゆっくりとキリンのほうへと近づいていった。

「おかおがみえないくらいおっきい……」

 感動と驚きに呆然とキリンの頭を見上げている恵麻の姿を収めたくて、私は持ってきたカメラのシャッターを押す。そのまま撮った写真をその場で確認していると、相良さんがふっと小さく笑う声が聞こえてきた。

 私はカメラの背面モニターから顔を上げる。相良さんは、こぶしを口もとにあてて微笑していた。

「ごめん。必死に恵麻ちゃんを撮っている姿がかわいくて」

 その言葉に、私はずっと見られていたのかと急にやりどころのない羞恥を感じる。照れくささに唇を結んでいると、こちらにやってきた相良さんが私の手からカメラを取った。
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