秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「相良さん?」

 困惑する私を、彼が真っ直ぐに見つめた。足音もなければ、突如として凛とした静けさが引き立つ。呼吸の音すら響いてしまいそうで、私は息をひそめて相良さんの反応を待った。

「俺はこれからもふたりとこうして楽しい時間を過ごしていたい。ずっとそばでふたりを守っていきたいんだ。それを許してくれないか?」

 しばしの間沈黙していた相良さんが、意を決したような面持ちで放った。私は驚愕のあまり、心臓が高鳴る。

 ……今、なんて言ったの?

 立ち尽くす私に、相良さんはさらに言葉を続けた。

「振られたのに、諦めが悪くてごめん。あの夜、君は俺と過ごしたのを後悔したのかもしれない。でも、俺はずっと君を忘れられなかった。会いたいと何度も願ったんだ。また会えたから、今度は簡単に引きたくない」

 その言葉に、私は「えっ?」と驚きの声を上げた。

 振られた? あの夜、私が目を覚ますと相良さんはいなくなっていた。振られたのは私のほうでしょ?
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