秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 正直お酒がそんなに強くない私は、男性の気遣いにほっとする。すると、表情を柔らかくした男性がおもむろに口を開いた。

「君みたいな素敵な女性が壁の花になっているなんて、と言いたいところだけど――」

 言いかけて止めた男性が、私の隣にきて壁に軽く背をつける。

「俺もこういう場はあんまり得意じゃないんだ。少し休憩したくて。君はここへはひとりできたの?」

 話し出す男性に狼狽しつつも、私も返す。

「はい。都合が悪くなった友人の代わりに」

「……そうなんだ。じゃあ友人の分まで楽しまないといけないな」

 私は「えっ?」と驚きの声を上げる。

 身体を起こした男性は私の手からグラスを奪うと、自分のグラスと一緒にそばにあったテーブルに置いた。戻ってきた彼は、手のひらを上にして私のほうへ右手を差し伸べる。
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