秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「本当はこちらから伺わなければいけないのに、お呼び立てして申し訳ありません。神田があなたと恵麻ちゃんにしたこと、すべて聞きました。いくら謝っても許される問題ではないと重々承知しております。だが、どうしても直接会って謝罪したかった。このたびは、誠に申し訳ありませんでした」

 深々と頭を下げる相良さんのお父様に、私は慌てて声をかける。

「頭を上げてください」

 しかし、相良さんのお父様は、たっぷり間をとってから頭を上げた。

「神田は辞めさせました。今後は決してあなたたちの前に現れないよう全力でサポートするつもりです。それでも神田のした行いは消えないし、なんの償いにもなりませんが、どうかこれからの生活は怯えることなく安心して過ごしてほしい」

 その言葉に、私は感慨に打たれて胸がいっぱいになる。

『相和グループ』の社長である相良さんのお父様。きっとすごくお忙しい中、私と話をするためにわざわざ会社を訪ねてくださったんだ。相良さんのお父様は無関係でなにも知らなかったにもかかわらず、こんなふうに頭まで下げていただいて。

 私たちを思うその心遣いが有り難くて堪らなかった。
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