秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「天音。俺は、君と恵麻のためならなんだってできる。だからもう二度と俺のためになんて考えて離れないでくれ。今度君を失ったら俺はもう生きていけそうにない。君たちが必要なんだ」

「相良さん……。私も、恵麻も、もう相良さんがいない生活なんて考えられません」

 私が返すと、相良さんはふっと小さくえみをこぼした。相良さんのもう片方の手が私の頬を包み、彼の美しい顔がこちらに迫る。

 私もつい目を閉じて彼を受け入れたけれど、はっとして「待ってください」と発した。同時に両手で相良さんの口もとを受け止めたせいで、彼の目が不服そうに細められる。

「ここ……会社でした」

「わかってる」

「だからこれ以上は……」

 私が言うけれど、相良さんは私の手を取り、まぶたを閉じて私の手のひらに唇を寄せる。手のひらから温かな感触が伝わってきて、私は思わずビクッと肩を跳ねさせた。

 ゆっくりとまつ毛を持ち上げた相良さんの大きな瞳がこちらを見据える。その色気のある表情に、私の心臓はドキドキと鼓動を増した。
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