秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 私が気恥ずかしさに唇を結んでいると、大和さんが一瞬、触れるだけのキスを落とす。

 その不意打ちに、私は声にならない声を上げた。

 結局した! そう目で告げるけれど、大和さんの手がするりと私の頬を滑り、耳をなぞる。

「これでも我慢してるんだ。だからこれ以上可愛い反応しないでくれ。家まで耐えられなくなる」

 困ったように眉根を寄せて言う大和さんに、私は大きく身体を仰け反らせた。ついに恥ずかしさが限界を超えて彼の腕から抜け出す。そのまま「失礼します!」と勢いよく頭を振って、私は副社長室から飛び出した。

 ちょうど大和さんのお父様のお見送りを終えたであろう蒼井と呼ばれていた男性が戻ってきて、鉢合わせる。ただならぬ様子の私を目にした男性は、副社長室のドアを横目に、呆れた面持ちでため息をついた。

 その様がさらに私の羞恥心を煽る。

 絶対いろいろ見抜かれている……。
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