秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 私は桐斗さんに促され、大きな座卓の前へ大和さんと並んで座る。お盆を手に戻ってきた泉さんが、お茶の入った湯呑みを座卓の上へ並べて私の向かいの席に腰を下ろした。

 座るなり泉さんは、大和さんを見て努めて冷ややかな顔つきになる。

「変だと思ってたのよね。前は桜介を迎えにくるとき家の前に車を乗りつけてたのに、最近急にどこかに車を停めてうちにくるようになったでしょ? 別にそこまでして隠さなくたっていいじゃない」

「こうなるから嫌だったんだよ」

 言い終えた大和さんが、はぁーっと長い息を吐いた。

「こうって?」

「会わせて! って騒がれて。今日だってどうせ天音にいろいろ質問したくて呼んだんだろ。お前は昔からろくなことを言わないからな。憂鬱だ」

「ろくなことを言わないってなによ。あぁ、大和が秘書の根回しにも気づかず、捜したかった女性も見つけられなかった話とか?」

「はんっ」と鼻を鳴らす泉さんの言葉に、大和さんが正面に座る桐斗さんを睨みつける。
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