秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 私は手の中の花束に視線を落とす。

 これ、朝顔の折りかただ。綺麗に完成しているものと、不格好なものが混ざっている。この少し破れているのは恵麻のかな。折り直しの跡もたくさんある。桜介くんが必死に恵麻に教えてくれたのだろう。

 ふたりが一生懸命これを作ってくれた姿が目に浮かぶようで、私は感動のあまり目頭が熱くなった。胸がいっぱいになり、堪えようともみるみるうちに視界が滲んでいく。

「ふたりとも本当にありがとう。……大切にするね」

 涙を堪えるのに全力をそそいでいた私に気がついた大和さんが、ポケットから出したハンカチを貸してくれる。それを泉さんが「かっこいい~」とからかうので、私はハンカチを目に押しあてつつも思わず笑った。

 幼い頃は母以外家族と呼べる人はおらず、恵麻が生まれてからもひとりで育てていくと決めた私に、こんなにも一気に家族が増えるんだ。

 皆に祝福されて、大好きな人と家族になれる。

 ……幸せだな。

 突き上げるような喜びが胸を貫いた。
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