秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 相良さんに連れられたのは、上層階の中の一室だった。鍵を持っていたから、今夜彼が泊まる予定の部屋なのだろう。

 部屋に入るなり、相良さんが私の髪に手を差し込み、親指の腹で頬を撫でる。彼の大きな瞳は熱に揺れていて、ため息が出るほど美しかった。

 この人に求められているのが堪らなく嬉しい。

 今まで、会ったばかりの人と身体を結んだ経験など一度もなかった。それなのに、相良さんとの出会いは特別に感じられて、私はやはりこの出会いを運命だと思った。

 何度も抱き合い、その間、彼は何度も『天音。好きだ』とささやいてくれた。

 まるで夢の中にいるような夜。幸せで、自分がこんな情熱的な一面を持ち合わせていたのかと驚いた。

 朝になったあとのことなど微塵も考えていなかった。
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