秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 * * *

 次の日の朝。目を覚ました私は、一瞬で現実に引き戻された。

 重だるい身体を起こすと、ベッドの隣に寝ていたはずの相良さんの姿はなかった。

 こわごわと触れたシーツの冷たさを今も鮮明に覚えている。私はしばしの間呆然としてから、逃げ帰るようにホテルをあとにした。

 私、遊ばれたのかな。相良さん、嘘をついているようには見えなかったのに。そう思ったけれど、現実に嫌でも心を抉られた。

 あの夜の出来事を思い返せば、早く忘れようと努めるしかなかった。

 そしてしばらくして、妊娠しているのがわかった。

 正直動揺した。連絡先も知らない相良さんに会うすべはなかったし、どうにかして捜し出せたとしても、たった一晩だけの関係の私に妊娠したと聞かされても困るだけだろうと思ったからだ。

 それでも私は、この身に宿った命が愛おしかった。

 産婦人科で貰ったエコー写真に写る、まだ小さな我が子。
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